新陰流新陰流は愛知県を起源に始まった流派である。 この流派の特徴といえば、「抜きつけての牽制」といえる。 結局としては相手を斬ってしまうのであるが、 まずは相手に刀を納めさせる機会を与える 。 そのための「牽制」なのである。 それが新陰流には存在する。 以下では、新陰流の基本概念と(全てではないが)業(わざ)の意義を載せておく。 活人剣(かつにんけん) 「技術的意味」と「精神的意味」の融合。上記太字下線部が活人剣の概念。 甲冑の技法から素肌剣法へ 「創始者の作った型は絶対だ。誰もさわってはならない。」という考え方ではない。 技の形をそのまま伝えるのでなく、その時代に合った理に叶っていれば良い。 下り藤と打止がこれにあたる業の一部。 “我流”と“自分ならでは”の違いを理解すること。 〈業〉 順抜き(じゅんぬき) 〔意義〕 吾は正座である。敵正面から歩み寄り上段から切りかかろうとするが、 吾正面に平青眼に抜き付け守る(迎え突き)。敵が一瞬たじろぎ上段 から切りつけるが届かず、相打ちにて勝つ(敵の上に乗る気持ち)。 新陰流では、人中路を取る(自分の真ん中を切る)ことにより相打ち の勝ちを制する。 向之刀(むこうのかたな) 〔意義〕 これは「順抜き」を片膝立てで行う技で、敵が座っている場合の技で あり、座位の順抜きである。 開き抜き(ひらきぬき) 〔意義〕 座っている敵の殺意を感じ、吾素早く敵の膝に抜き打ちし、崩れる敵 を切る。 除け身(よけみ) 〔意義〕 正座中、正面の敵が上段から切り懸かるので、吾敵の右前に左足を踏 み込み左膝を立て平青眼に抜き付け敵をかわす。直ちに振りかぶり右 (敵の正面)へ踏み替わり真っ直ぐに打つ。 平青眼にならずに刃筋を斜めにして敵の右手首辺りに「先」で切り付 け、さらに右へ変化して真っ向から切る技もある。 横雲(よこぐも) 〔意義〕 敵が立ち上がりながら柄に手を懸けるのに対し、吾刀を上に抜いて中 執りし、敵の手懸りを押さえて攻め入る。敵が引きはずして切り込ん でくるのを中執りした刀で受け止め、吾の右側に引き落とし敵の腹に 突き入る。 胸の刀(むねのかたな) 〔意義〕 敵が吾の胸を取ってくるのを吾「帯抜き」で抜き、敵の手の下より刃 をあてがい刀を返して敵を押し倒して袈裟に切る。 引き身(ひきみ) 〔意義〕 正座中、正面の敵が立ち上がって切り懸かるので、吾右膝を後ろに引 き刀を返して敵の脇に抜き付け、敵の切り付けを留める。腕を引き切 るように刀を引き、さらに高八相に取り、左前に倒れた敵を切る。 連れ足(つれあし) 〔意義〕 敵が前より立ち上がって上より打ち懸かってくるのを、吾正座より左 膝を立て下より受け止め、敵の左側に磯の波ですり抜け、頭上を庇う ように攻撃態勢をとる。敵さらに振り返り上より打ち懸かってくるの を、左足より攻め入り右胴を切る。 屏風返し(びょうぶがえし) 〔意義〕 敵吾の襟を取ってくるのを、吾刀を返してたらりと上に抜き、刃を敵 の脇腹に押し当て前に押し倒し切っ先で引き切って、倒れた敵の腹部 を突く。 下がり藤(さがりふじ) 〔意義〕 正面真っ向から頭上に切り掛かる敵の太刀を、左足を前にして左半身 になりながら抜き上げて敵の刀を受け止め、さらに吾が左側に受け流 し、左手を添えて右半身に変わりながら敵の首に切り付けて勝つ。 打止(うちどめ) 〔意義〕 真っ向から切り掛かる敵を吾左足を前に下より切り上げ留めて、右足 を大きく踏み込み、返す刀で袈裟に切り勝つ。 前後の敵(ぜんごのてき) 〔意義〕 歩行中、前後の敵に攻められたので、前の敵を攻め進み、後ろに振り 向き後ろの敵の腰に抜き付け、右足前の半身になり、左足を踏み込ん で敵の右小手に切りつける。さらに左肩から袈裟に切り勝つ。(左袈 裟に切りつけたときに不十分の場合は敵の水月を突く。)前の敵に振 り向いて脇構えで数歩送り足で攻めて、袈裟に切り勝つ。 巻き切り(まきぎり) 〔意義〕 遠くの敵に平青眼で抜き付け、攻め入り、敵が上段より切り掛かるの を吾体を開いて敵の胴を切り勝つ。 折枯(せっこ) 〔意義〕 敵が正面から吾が柄を取ろうとするので、吾両手で柄を取りコジ放し、 敵が下がって刀を抜こうとする手に切りつけ勝つ。 一刀両断(いっとうりょうだん) 〔意義〕 歩み寄り真っ向から切り掛かる敵に対し、吾身をそらして上体を間境 より外し、越えて切り勝つ。 |